インド古典舞踊サークル

インド・ニューデリーとグルガオンで活動している、バラタナティヤムとカタックのサークルです。

なるほどバラタ 第3回: 最初のごあいさつ



私たちが練習しているGanesha Natalaya学校には、
シヴァ神やガネーシャ神、
サラスヴァティ女神の像や絵画が飾られています。
シヴァ神は、ナタラージャ(踊りの王)という別名を持ち、
踊りには欠かせない神様です。
その息子であるガネーシャ神は、
人々をあらゆる困難から守ってくださり、
何かを始めるときにもこの神様に祈ります。
サラスヴァティ女神は、
日本では弁財天として信仰されている、
芸事や学問の女神様です。



バラタナティアムでは踊る前や練習前に
神様の像の前で一連の動きをごあいさつとして捧げます。
ごあいさつをおおまかに手の形(ムドラー)と
動き、姿勢と足の動きに分けて説明します。
(番号はカウントを表わしています。)



最初のポーズ(カウント0)

ムドラー:カタカムカハ (Katakamukha = 「環の切れ目」)
・・・親指に人差し指と中指を集め薬指と小指を立てる
影遊びの「きつね」をイメージしていただくと
わかりやすいと思います(ただし指は違いますが)。
姿勢・足:サマ・パーダ
・・・かかとをあわせて、まっすぐに立つ



※ 両手をカタカムカハにして、
胸の前で向かい合うように
(「きつね」の顔と顔を向かい合わせる感じ)します。
肘は下がらないように
地面と水平になるように注意してください。



1.2.
その姿勢のまま右足、左足とその場ステップを踏みます。
膝を曲げ、足の裏が後方を向いて
かかとがおしりに触れそうなぐらいに足を後方に上げてください。



3.4.

ムドラー:シカラ (Shikhara=「尖塔」)
・・・ げんこつから親指を立てる
「グッド」のジェスチャーを
イメージしていただくとわかりやすいと思います。
姿勢・足:サマ・パーダから
     アラ・マンディ(膝を開いた中腰)を経て
     ムル・マンディ(膝を開いた状態でしゃがむ)


     
※ シカラの親指を下にした状態で、
それぞれの肩の上に持っていきます。
その位置から半円を描くように、
途中で親指の位置を回転させながら、
姿勢をムル・マンディにしていきます。
サマ・パーダの姿勢から膝を開いたアラ・マンディ、
そしてムル・マンディになるように徐々に姿勢を変えてください。
姿勢は猫背にならないようにすーっと腰の位置を下ろします。
親指を外側に向けた「グッド」の形で
正面、地面すれすれに持っていきます。



5.
ムドラー:チャトゥラ (Chatura=「半月」)
・・・ 人差し指、中指、薬指を揃え、
親指先を薬指の第二関節に添えて、小指は立てます。
姿勢・足:ムル・マンディ



※ 3.でシカラ(親指は外側)になった状態から
チャトゥラに形を変えて、
両手を地面すれすれまで下ろしてください。
顔は両手を見るように下方を向きます。



6.
やや前かがみになって
チャトゥラの型のまま両手で軽く地面に触れます。



7.

チャトゥラの型のまま両手を目の前に添えます。
「いないいないばぁ」で目を隠す時よりも
手をハの字にします。



8.
ムドラー:パドマ(蓮の花)
姿勢・足:ムル・マンディから
     アラ・マンディを経て
     サマ・パーダ



※ チャトゥラにした両手を
おへその前辺りでパドマに形を変え、
大輪の花をイメージしながら
両腕で半円を描くようにして頭上にもっていきます。
その時に姿勢もムル・マンディから
徐々にサマ・パーダに戻していきます。



9.
ムドラー:パターカ (Pataka=「旗」)
・・・ 4本の指をすきまなく伸ばし、親指を折る
親指の腹を人差し指の根元に横付けする感じで添えます。
姿勢・足:サマ・パーダ



※ パドマの形をさせたまま両手が頭上に来たら
パターカに変えて合掌します。
サマ・パーダの姿勢の時に、
かかとがきちんと揃っているように気を配ってください。
合わせた手をそのまま真下に下ろし、
胸の前に来たところでお辞儀をします。
(胸の前でパターカを合わせた、Samyuta Hasta(「両手のムドラー」)を
アンジャリ (Anjali)といいます)。





この一連の動きには意味があり、
地面にチャトゥラでタッチして目に受ける箇所は、
大地の女神様に
「これからあなた(大地)を足で踏みしめ、
踊ることをお許しください」

と伺っているといいます。
そしてパドマで描く半円は
神様に捧げる花を表わしているそうです。



また先生(グルジー)の前でも
同じごあいさつをして、敬意を表わします。
練習の前後には、神様の像と先生の前で
ごあいさつすることを忘れないようにしましょう。