インド古典舞踊サークル

インド・ニューデリーとグルガオンで活動している、バラタナティヤムとカタックのサークルです。

オリッサ細密線画デモンストレーション


先日オリッサ細密線画の
デモンストレーションを見る機会に恵まれました。
(みよさん、ありがとうございました!)



オリッサ細密線画については
あまり知られていないのが現状だそうで、
今回色々と教わってきました。



オリッサ細密線画は、
インド東部に位置するオリッサ州の
寺院に奉納されるものとして起源を発しました。
オリッサ州で信奉されている
ジャガンナート神(クリシュナ神)を主な題材とし、
繊細かつ正確な筆致で描かれる細密線画は圧巻です。




複数の女性が象の形をかたどっているモチーフは、
オリッサ細密線画の典型的なものです。
この女性たちは、「ゴピ」と呼ばれる牛飼いの女性で、
クリシュナを描く上では欠かせない存在です。
ゴピの象の上にいる、青い肌の男性がクリシュナです。



ほかにもインドの大自然を表現した森の絵や
(木や動物がいっぱい)、
みなぎる命の象徴、「生命の木」も
重要なテーマです。




今回はオリッサ州ブバネシュワールの、
タンマイ・マハパトラさんに
細密線画のデモンストレーションをしていただきました。



まずテーマを決めて、下絵を描きます。
(シヴァ神を描いてもらいました。)
下絵の段階でこの躍動感!!
全体の体の動きが生き生きしていて、
今にも踊りだしそう。







その絵の上から
黒い顔料(もとはろうそくのすすを使っていたそうです)を
極細の筆につけて描きます。
それはそれは細かい作業です。
髪の毛の筋や繊細な装飾の模様を、
筆先に集中して一本一本描いてきます。
これほどに迷いのない線は、
見ていて潔いぐらいです。



このようにして出来上がった絵に
自然の顔料で色をつけていきます。
とはいっても、一部を赤や青の一色で塗っていくものが多く、
多色使いでも、優しい色合いです。
インド=ど派手な色という認識を持っていただけに、
とても驚きました。



全体的に根気の要る作業で、
細密画家のなり手が年々減っているそうです。
このような素晴らしい芸術が
幻となりつつあるのは、残念なことです。
今回は本当に目の保養をさせていただきました。